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「西村ツチカ個展 クマよけの鈴」のこと(3)

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会期中、在廊してらっしゃったツチカさんにお会いするたび、サインをお願いしていました。

図々しくも、何度もお願いして本当に恐縮と申し訳なさと、
うれしくて仕方がない気持ちと、
行ったり来たりであっぷあっぷしていましたが、
気さくに応じてくださり、本当にうれしかったです。

ずっと眺めては、触りたい衝動と大事すぎて触れない理性の狭間に居ます。

拙い言葉で質問をしたり、
まとまらない頭で考えていたことを聞いていただいたり、
反芻しては、また作品の世界に迷い込むような。

その、サインです。
(じまんです)

 

(1)iPhone
写真-7
毎日持ち歩くものに、いつでも見られるところに、と思い
iPhoneの裏にお願いしました。
個人的思い入れで、ボーダーのお洋服を着ている人は無条件に好きなので、
ちょっと見透かされた気持ちになりました。

 

(2)手帳
写真-10
こちらも、いつでも行動を共にするものに、と手帳の最初のページにお願いしました。
大好きなチカちゃんと、りんごをお願いします、とお伝えしたところ
DJ姿のチカちゃん!
いつか私が人前に立つことがあれば、この格好でやろうと決めました。

 

(3)さよーならみなさん
写真-9
コミックスの、表紙裏に。
このときもリクエストをきいていただき、派手なのをお願いします!と。
傘の持ち方が、みなちゃんらしくて、かわいくて、
PR0P0SEの「雨模様」を聴きながら帰りました。

 

(4)ユースカ
写真-8
先行発売で購入した、ユースカの最初のページに。
夏っぽいものを、とお願いしたところ
「あほっぽい、あほっぽくなった」とおっしゃっていて
夏のよさはまさにその一点!と勝手に思っていたので、
うれしかったです。
毛量と唇の赤さとカナアミのお洋服が、わりと私っぽいので、こういう女の子になりたいです。

以上、宝物じまんでした。

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「西村ツチカ個展 クマよけの鈴」のこと(2)

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「さよーならみなさん」のこと。

物語が、ひとつのフォーマットをもって繰り返される中で、
厄介男子たちは「捨てる」「与える」行為を行い(それは持ち物であったり、身体の一部であったり、命)
みなちゃんは「拾う」「譲り受ける」「もらう」存在であり続ける。

その対比の中で、石倉はハンカチもちり紙も、「捨てない」。

最終話で、その「捨てない」行為は
2つの選択肢を思わせる。

もし、みなちゃんが自転車に乗れるようになったならば。
石倉は、自転車から手を「離し」、みなちゃんは店長から自転車を「もらう」。

もし、みなちゃんが自転車に乗れないままならば。
石倉は、自転車から手を離すことなく、みなちゃんは自転車を「もらわない」。

みなちゃんにとって、
後者は他者との関わりという意味で大きな変化を迎える。
前者は、自分自身に大きな変化が訪れる。
どちらの未来も、変化をともなう新しい世界であるが、いずれかは受け入れざるをえない。

また、「集める」という行為が
『執着』そのものを示すのだとすれば、
つぎつぎと手にしたものが変化していく(交換していく)みなちゃんにとって
自転車は、通過点のひとつに過ぎないのではないか。

不変であることの困難さ、
変化を受け入れざるを得ないさだめ、
……というものをテーマとして読みました。

私は、みなちゃん自身の変化の予兆のまま終わって行く物語に、好きな未来を当てはめています。
きっとみなちゃんは、自転車に乗れるようになり、きちんと変化を受け入れる。
そして、これからも不意におとずれる困難を、変化しながらかわして生きて行く、そう思っています。

「西村ツチカ個展 クマよけの鈴」のこと(1)

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西村ツチカさんの個展、『クマよけの鈴』を見に行きました。

マンガの生原稿を見るのははじめてで、
ふと、芦屋の谷崎潤一郎記念館の景色が頭に浮かんだので、生原稿特有の迫力を無意識に感じ取ったのかもしれません。
(限りなく、畏怖、に近い。)

特に印象的だったのが、ピューリッツァー賞のワンシーンでした。
小説でも映画でも、もちろんマンガでも、
「首を吊る」と「女の子が身体を無理矢理触られる」という状況がどうしてもつらくて
(特にそういう過去がある、という訳ではなく、単純に、蜘蛛が怖い・蛇が怖い、と同じように理由がなく漠然と怖い)
読み飛ばしたり目をつぶってしまうのですが、あまりにも伸びやかな清々しい絵に、
もう一度読み返してみたくなり……
せっかくの、好きな作家の方の作品を、自分で狭めて読まないのは勿体ない、と痛感。
未来のあるラストに、改めて救われた思いでした。
(でもやっぱり明らかな悪意も、無邪気なそれも、読み返して向き合うには覚悟が必要)

そして、もうひとつが、藤村の夢の、みなちゃんでした。
百合が印象的な絵で、でもあまり見覚えがなくて、はじめて見た感覚があって……
(これはトークショーを通して、雑誌版で読めるということが後にわかる)
この絵がきっかけで、もう一度、
「さよーならみなさん」について考え直したので、そのことを次の記事にまとめます。